旅に花、心に贅。時に游び、時を愉しむ。茶の心にも似た、やわらかな時の粋。季節にやさしく包みこまれるような旅の扉に、日本が、そっと香りはじめる。簡にして素、純にして贅。沙羅の葉が、風にかすかにさやぐ。
やさしく慈雨の降るも佳し、木もれ陽のきらめきも佳し。ゆったりと広めのしつらえに、想いのままを愉しむ、時の贅。さりげない、心くばりの花活け。ふと胸に訪れる、空白のやすらぎ。
胸に満ちる天地(あまつち)のぬくもり。恵みの湯は、四季を母とす。白い濁り湯のぬくもりに身を沈め、ゆったりと心をときほぐしてみる。遥かに連山。指先に花弁。流れゆく時、うつろいゆく季を、ただ慈しむ。
一心に、想いをこめた味わい。言葉より、なお語るもの。味わいの旬はいわば、瞬。じっくりと仕上げた、吟味の一品一皿を温冷剛柔、できたての香気とともに。姿にも、器にも、馳走の想いがたしかに息づく。
のびのびと、身をくつろがせて遥か蒼穹を仰ぐ、この至高の時。枝を揺らす鳥が、露に輝く草花が謳歌してやまない、それぞれの季節の主旋律は、稀人(まれびと)の心の裡へ、ゆっくりと、静かに根をおろしてゆく。