京間畳、聚楽壁、北山杉、北座敷、夏座敷などは、古人の生活の知恵であり、京都を演出する舞台装置である。
京都の料理を歴史的にみると次の四つに分けられる。御所に伝わって来た有職料理、禅寺を中心に発達した精進料理、茶道にもとづく懐石料理、そして町家に育ってきた家庭料理である。所謂、京料理とは、古い歴史を持つそれ等の料理法を近代的に生かし、季節感を盛って食膳に供するもので、味付けは淡白に、材料そのものの味を生かし、伏見の銘酒にもよく合う。
その昔、海に遠い京都は生魚が手に入り難く、塩干魚や野菜を主体とした料理が考へられたと云はれるが、現代は、瀬戸内海や日本海の生鮮魚介類、琵琶湖、鴨川等の川魚と材料は豊かだ。然し夙に有名で美味しいのは京野菜の数々で、加茂茄子、聖護院大根、近江蕪、長岡の筍をはじめ、近郊に産する蕗、蕨、独活、などの蔬菜類。丹波地山の松茸、しめじ、生椎茸、それに嵯峨豆腐、生湯波、生麩、どれも欠かせぬ京料理の魅力である。
よく日本料理は食べる楽しみと見る楽しみがあると云はれるが、京料理は、盛る器が肌の美しい清水焼であり、更に座敷が落付いた京の宿であるのも、大きな条件ではないだろうか。
炭屋では、毎月7日と17日の夜、茶室に釜を懸け、宿泊のお客様を接待する慣習が、かなり久しい以前から続いています。7日が先々代、17日が先代の命日なので、その供養の心でございます。茶室は、「玉兎庵」といい、裏千家御先代淡々斉宗匠より頂いた庵号です。
「京に来て、うれしとおもふ、しづかなる、 利休ごのみの、宿の一夜を。」