(写真:べに花)
温故知新
その時わたしは、逗留という言葉を思いだしていた。 簡単にいえば旅先で宿泊するということだが、 逗留には、やはりどこかとくべつな響きがある。 それは飛行機も電車もなく、 いまよりもずっと旅に時間をかけていた時代の 優雅さのようなものかもしれない。
旅が教えてくれるのは、 思い出は心の中にしか残らないこと。だからこそ、 それはなによりも貴重なのだということ。 湯の中で、ひとりそう思った。
窓をあけて、庭の景色をぼんやりと見ていた。 旅行では、ときどきそういう時間ができる。 なにかをするには短すぎ、 なにもしないには長すぎる。そんな時間だ。
桜鱒。孟宗汁。庄内浜岩牡蠣。だだちゃ豆。 胡麻豆腐のあんかけ。庄内柿。寒鱈のドンガラ汁 料理の名前をメモしてみる。 なんの役に立つか知れないけれど |